2013年4月13日土曜日

2013/04/18 大阪での講演「ICカード全国相互利用の完成に際し、今後の技術と事業に期待すること」に関して(2013/04/19追記)

 これは、4/18に大阪で行われた日本鉄道サイバネティクス協議会 出改札システム委員会 特別講演についての古関からの情報提供ページです。
講演資料の電子版をこちらで御入手ください。

(ファイルは暗号化されています。講演会場でお知らせしたPWを入力して開いてください。)

 4/18の拙い講演をご静聴いただきありがとうございました。

<言い間違えと資料誤記のお詫び>
 講演の中で、沖縄のモノレール「ゆいレール」を「ゆりかもめ」と言い間違えていたとのご指摘をいただきました。(実は、資料、スライドにも誤記がございました!)ご指摘のとおりです。誤りをお詫びし、ここに訂正させていただきます。


-------以下はスライドとほぼ同じ内容のレジュメです---------
「ICカード全国相互利用の完成(?)に際し、今後の技術と事業に期待すること」

2013/04/18 
東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻 准教授 古関隆章 
takafumikoseki@ieee.org, http://www.takafumikoseki.blogspot.com/ 
スライドのコピーは上記から暗号化電子版を入手可能です。

---- 自己紹介(一般) 
リニアモータ研究
現在の仕事
 2010 LRT国際ワークショップ in Okinawa
 沖縄鉄軌道の将来的可能性? @日本地下鉄協会

----自己紹介:曽根先生とIC card
1992年 助手としての最初の仕事はRFID技術の調査 
        その後 香港 オクトパス調査
RTRIでの開発 田中氏, 後藤氏
曽根先生の IPASS構想 Intelligent Passenger ASSistance
  メモリ 非接触通信機能を持つ ICデバイス=>乗車券
  3つの重要機能
     自動運賃収受
     旅客個別案内
     リアルタイム需要把握

---自己紹介 スイス留学
1996年 ETH Zurich EasyRide
公共交通 共通料金 信用乗車? General-Abos Halbtax-Abos
 http://www.sbb.ch/abos-billette/abonnemente.html
EasyR!de 構想
 http://www.emmicroelectronic.com/products.asp?IdProduct=107

----はじめに
2013/3/23~ 全国相互利用サービスを実施する交通系ICカード
「Kitaca」(北海道旅客鉄道株式会社)
「PASMO」(株式会社パスモ)
「Suica」(東日本旅客鉄道株式会社)
「manaca(マナカ)(株式会社名古屋交通開発機構及び株式会社エムアイシー)
「TOICA」(東海旅客鉄道株式会社)
「PiTaPa」(株式会社スルッとKANSAI)
「ICOCA」(西日本旅客鉄道株式会社)
「はやかけん」(福岡市交通局)
「nimoca」(株式会社ニモカ)
「SUGOCA」(九州旅客鉄道株式会社)
おめでとうございます 
  3/20-23 電気学会全国大会@名古屋大学

----Web上で見る関心の高さ
日経新聞 全国4275駅を1枚で 交通系カード、相互利用始まる 2013/3/23 11:01
  http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2301B_T20C13A3CC0000/
J-Castニュース ICカード乗車券全国相互利用、23日からスタート
  http://www.j-cast.com/2013/03/23170844.html
Life hacker
   http://www.lifehacker.jp/2013/03/130322_ic_card_ok.html

E-Money Japan (利用者視点で全体を概観できる便利な情報源!)
 http://www.e-moneyjapan.com/


----ICカード全国相互利用の「ほぼ」完成
(1) エリアを越えた相互利用
(2) JR四国 沖縄県はいつ?
      ゆいレール 内閣府調査 那覇-名護 幹線
2013年 3月 19日 沖縄県庁企画部交通政策課主催のシンポジウム
「鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入に向けて」

----乗車券の歴史と運賃収受の自動化
1836年 エドモンソン券
 Newcastle and Carlisle Railwayの駅長だったトーマス・エドモンソンが考案(長さ3cm、幅5.75cm)
磁気券
1969年 近畿日本鉄道 学園前駅で「磁気乗車券+自動改札機」試験導入 (日本信号製)
1970年- 国鉄 「磁気乗車券+自動改札機」段階的導入
1985年 オレンジカード(国鉄)(プリペイドカード)
1988年 神奈川中バスカード (ストアドフェア・カード)
1991年 JR イオカード(ストアドフェア・チケット)
1992年  阪急電鉄 ラガールカード

ICカード
1997年9月香港 八達通 (Octopus card)
1997年10月 ユーバスカード (静岡県磐田市)
2001年11月~ 東京近郊区間(首都圏)424駅でサービス開始

出札口や自動券売機で乗車券購入の必要なし
事業者側にとって自動券売機の設置台数を減らせる
非接触型ICカードの場合 カードの挿入による機械トラブルを回避
 
乗車カードによってプレミアム(おまけ)、ポイントが付く
乗車カード利用者限定の乗り継ぎ割引制度も可能 (利用ログの活用)

読自動券売機での乗車券・料金券(特急券など)の購入
自動精算機での不足運賃の精算(乗り越し)なども可能

----Suicaの始まり
1991年~JR東日本の一部の区間から Felica システム
東京圏の相互乗り入れのネットワークへの拡張 
様々な技術的問題の解決 
        磁気券改札機を長期的にどう置換えるか?

----その後の広がり
2001年春 JR西日本とスルッとKANSAI協議会 ICカード導入と乗車券機能相互利用検討開始
2002年秋 JR東日本、「パスネット」発行の大手民鉄 ICカード導入と乗車券機能相互利用に燗する意見交換開始
(方針:バス会社を含む相互利用を2006年度から順次展開)
2003年11月 JR西日本近畿圏アーバンネットワークでのICOCA使用開始
2004年3月 (株)ICカード相互利用センター 設立
2004年8月 Suica ICOCA 双方の利用可能エリアでの乗車券機能相互利用サービスの開始
          PiTaPa 開始(阪急電鉄、京阪電車、能勢電鉄)

----その後の広がり
2006年1月 ICOCA PiTaPaの両方のカードの乗車券機能相互利用サービス開始 
2010年3月 SUGOCA nimoca はやかけん Suica 乗車券・電子マネー機能相互利用
2011年3月 SUGOCA ICOCA TOICA 乗車券・電子マネー機能相互利用開始
2011年3月 博多駅 小倉駅の新幹線乗り換え改札期 EX-IC 在来線ICカード IC乗継サービス開始
2012年4月 東海地区 TOICA Manaca 乗車券機能相互利用

---その後の広がり(国内 2013/03/23)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:ICCard_Connection.svg

--- 海外の動向 
Octopus 香港 世界で最初に実用化した鉄道用非接触ICカード 1997.09-
   http://www.octopus.com.hk/home/tc/index.html

--- 海外の動向
MIFARE
世界的に採用されている非接触ICカードシステム
 http://www.mifare.net/applications/afc-tickets/
Calypso ヨーロッパの非接触交通用ICカードの協議会?
RATPに端を発する
http://www.calypsonet-asso.org/

--- 個別適用事例
Bilhete Único ブラジル サンパウロ  2004.05-  
   http://www.sptrans.com.br/bilhete_unico/sobre.aspx
Easy card アメリカ フロリダ 2009.01-
   http://www.tri-rail.com/EASY/
Elektronisk reisekort ノルウェイ オスロ 
   http://ruter.no/no/billetter/reisekortet/
Istanbulkart トルコ イスタンブール 2009.03-
   http://skart.iett.gov.tr/
LisboaViva ポルトガル リスボン 2004-
   http://www.otlis.com.pt/

---11-18 その後の広がり(海外動向)
Wikiにある List of smart cards
 http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_smart_cards

---19 関連国際規格
ISO/IEC 14443 Identification cards
-- Contactless integrated circuit cards --
ISO/IEC Joint Technical Committee 1 の Subcommittee 17
Working Group 8 にて策定
  ISO/IEC 14443-1:2008 Part 1: Physical characteristics[1]
  ISO/IEC 14443-2:2010 Part 2: Radio frequency power and signal interface[2]
  ISO/IEC 14443-3:2011 Part 3: Initialization and anticollision[3]
  ISO/IEC 14443-4:2008 Part 4: Transmission protocol[4]
Type A and Type B
 通信周波数 13.56 MHz
 ==> オーム 鉄道技術ポケットブック

適用事例
MIFARE cards
Calypso (electronic ticketing system)
iCLASS cards and tags by HID Global
ドイツの身分証明書
生体認証パスポート
高速道路料金徴収システム (PayPass, payWave, ExpressPay)

---電気学会における議論
ソフト的旅行時間短縮技術調査専門委員会(1997.06-1999.05) 委員長 古関
物理的高速化:限界に近づく
利用者視点: 乗車駅から目的駅までのトータルの時間削減が重要
 停車駅数 余裕時分 接続を考慮した列車ダイヤ設定
 乗車券発行システム 接続を考慮した駅設備 情報提供システム
 運行計画 運行管理 運転整理??

---電気学会における議論
ソフト的旅行時間短縮技術調査専門委員会(1997.06-1999.05)
4. 旅客との情報交換を通じての旅行時間短縮技術
4.1 公共交通分野における情報技術の現状
   プッシュホン予約 サイバーステーション(インターネット予約)
   情報技術応用を支えるメーカ技術
4.2 将来構想
   新しい列車予約方式
   ICカードの導入と旅客サービス
   携帯端末の普及とIPASS
6. 長期的検討課題
6.3 旅客輸送分野での情報技術
 券売機のみならず「ゲートレス鉄道利用」:電子マネー 運賃収受方式のあり方の革命
 旅客への個別案内 
 乗車時間の有効活用 給食サービス? 走るオフィス 理容室 休養室...
 駅を 日常生活サービスステーションへ 

---電気学会における議論
モバイル通信の公共交通サービスへの応用システム調査専門委員会(2001年7月~'03年6月)
モバイル通信, マルチメディア化/公共交通利用における恩恵
 携帯電話:交通案内 座席予約
 その先には何が?
交通事業者との個別通信
 きめ細かな情報サービス
 それらの嗜好に答える交通サービス
公共交通の料金徴収や情報案内

---電気学会における議論
モバイル通信の公共交通サービスへの応用システム調査専門委員会(2001年7月~'03年6月)
2.理想的な公共交通サービス実現のためにモバイル通信が果たす役割
 IPASS・サーバーレール両構想とモバイル通信技術
 モバイル通信において考慮すべき観点
4. 乗車券システムにおけるモバイル通信の実例
 磁気券乗車券時代の事例: パスネット バス共通カード 
               スルッとKANSAI 
 非接触ICカードを利用した乗車券の高機能化
  バスへの適用例(東急トランセ)
       近畿圏:JR西日本とスルッとKANSAI
    自動車等共同利用システム例(京都パブリックカーシステムの事例)

---電気学会における議論
モバイル通信の公共交通サービスへの応用システム調査専門委員会(2001年7月~'03年6月)
 高度なモバイル通信を用いた利便性の高いシステム
  携帯やインターネットを用いた予約システム: エキスプレス予約
  検札におけるモバイル通信の適用
   新幹線車内改札システム
   近畿日本鉄道の事例
   Easy Ride
5. 情報案内システムにおけるモバイル通信の例 
6. 需要把握におけるモバイル通信化の実例 
7. 理想的サービス実現に向けての諸課題検討

--- 行政?の議論
2001-'02年 第一次小泉内閣の頃 広く自由化を検討
国土交通省鉄道局 運賃研究会 
 Demand controlを運賃の行うことができるか?
買い物回数券 土休回数券
 ドラスティックに利きの良い運賃制度は技術的に可能か?
電車賃がタダになっても仕事で必要ならば職場にはでなければならない
運賃よりも、サテライト・オフィス、ICT活用の在宅勤務などが実効的になる政策を検討すべき
ICカードに緩い簡易化した料金体系やログによる精算システムを組み合わせれば時間別運賃は技術的は可能だが、罰金問題も含め、運賃制度を巡る社会システムの見直しが先決

---日本の特殊性
精算が複雑  になる理由
(1) 各事業者が独立の料金体系を持っていて独立性が高い。
(2) 都市交通と幹線交通の区別が明確でない。
(3) ネットワークも輸送需要も大きい。混雑度が高い。
(4) 正確に運賃徴収をする仕組みを徹底させる必要がある
<==> ペナルティなしで乗車区間を変えられる
        不正に対する罰金の割合が低い
欧州の都市交通(鉄道、LRT、バス、ケーブルカー、船舶)
 信用乗車方式?: チケットキャンセル方式
 都市交通事業者連合の共通運賃 ゾーン性

---ふたたび IPASS
1. 自動運賃収受
2. 旅客個別案内
3. リアルタイム旅客情報把握

---道具が変われば仕組みが変わる
 回数券も定期券もなくなる?
 囲い込みから共通化へ
 利用実績に基づく割引へ
  バスのポイント

---広域展開のコスト
北海道の小さな駅が改名したとき、何故福岡市交通局のシステムを福岡市が金をかけてなおす必要があるのか?
 ===> データベース実装技術での対応
   シンプル にしないと持続可能ではない?
お客様はわがまま

---ICTが安いのはベストエフォートだから
ベストエフォートではすまないこと: 安全とお金
 安全問題では「お客様は神様ではない」
 しかし、料金徴収に関わることはサービス提供者の全責任 
 (部分的には諦める?経済性と正当性)

---個別旅客案内
運行管理 運転整理とも関係
スマホ Android端末 と Wifiが急速に普及した社会 ICカードとは別の仕組み
情報提供もマルチパス 行政、事業者のみではない
3.11後の三鷹市Twitter 
デマによる混乱をどう防ぐか?
  鉄道事業者が情報提供の中核であり続ける気持ち
  できるだけオープンに

---旅客情報収集ネットとしてのIC カード
大都市交通センサス
 定期券と目視記録に基づくOD情報
 利用ログの積極的利用: ビジネスチャンス拡大
   乗客流の数値的把握の費用と精度が上がる
サービスの質的向上: 安全性と快適性 
   合理的な運転は省エネルギーの埋蔵金でもある
 ビッグ・データ データマイニング

---日本鉄道サイバネティクル協議会
サイバネティクス (Nobert Wiener)
 良く分からない?古い?
「出改札システムに関して、連絡運輸・相互利用に関するルール作り」

---Cyber-Physical Systems
アメリカの大ボラ吹きの研究予算獲得

---Cyber-Physical Systems
ヨーロッパの追い上げ
欧州のビッグデータ利活用とサイバーフィジカルシステムの研究開発・標準化動向の調査
(NICT欧州連携センター 2013年3月28日 調査報告書)
---Cyber-Physical Systems 中国 韓国
アメリカで活躍する中国系研究者
韓国 KAIST

---Cyber-Physical Systems 我が日本は?
紹介記事 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20101115/354116/
喜連川教授インタビュー http://www.sbbit.jp/article/cont1/22970
NIIシンポジウム http://www.nii.ac.jp/event/workshops/cps2012/

---陽に語られていない鉄道システムでの展開
サイバーレール
知能列車

---Cyber-Physical Systems そもそも何?
情報ネットワークと実世界の融合
 IEEE  計算機のSociety と 制御システムのSociety
 (1) 広く分布されたセンサ ネットワーク
 (2) 数多く存在する アクチュエータ
 (3) これらをネットワークでつなぎ
 (4) 統合的制御を考えれば
すごいことができるはず?
上記の(1)(2)の前提は日本の鉄道ではすでに整っている

---鉄道をフィールドとしたCPSの世界に先駆けた実証
(3) これらをネットワークでつなぎ:
 会社間の縦割り
 組織間の縦割り の解消 
 風通しの良い情報流通

==> ICカード全国相互利用 のインフラと実績に基づく知見の蓄積は重要な基盤
しかし、未完成な部分も....

他のセンサ系の統合: 応荷重装置 駅監視カメラ 車両の位置・速度情報 き電系電圧・電流
判断の自動化

---鉄道をフィールドとしたCPS の世界に先駆けた実証
(4) 統合的制御を考えれば ==>  ビジネスチャンス拡大
 利用ログの積極的利用 運行計画 運行管理への反映 
  えきなか 輸送提供を基本とした総合的サービス

---おわりに
30年前の夢物語が現実のシステムに
安定した運用実績の中で知見の蓄積を
 しかし、真の全国相互利用にはあと一歩? 
技術者、研究者はここで歩みを止めない
Cybernetics から Cyber-Physical Sytemsへの展開

---Thank you very much
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